何といふきれいでせう

空がまるで青びかりで ツルツルして

その光は ツンツンと 二人の眼にしみ込み 

また 太陽を見ますと それは大きな空の宝石のやうに

橙(だいだい)や 緑や かゞやきの粉をちらし

まぶしさに眼をつむりますと 

今度はその蒼黒(あをぐろ)いくらやみの中に 

青あをと 光って見えるのです 

あたらしく眼をひらいては 

前の青ぞらに 桔梗(ききゃう)いろや 黄金(きん)や 

たくさんの太陽のかげぼふしが くらくらとゆれて かゝってゐます






宮澤賢治

「 ひかりのすあし 」