2012-06-02 ■ 何といふきれいでせう空がまるで青びかりで ツルツルしてその光は ツンツンと 二人の眼にしみ込み また 太陽を見ますと それは大きな空の宝石のやうに橙(だいだい)や 緑や かゞやきの粉をちらしまぶしさに眼をつむりますと 今度はその蒼黒(あをぐろ)いくらやみの中に 青あをと 光って見えるのです あたらしく眼をひらいては 前の青ぞらに 桔梗(ききゃう)いろや 黄金(きん)や たくさんの太陽のかげぼふしが くらくらとゆれて かゝってゐます 宮澤賢治「 ひかりのすあし 」